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1965年5月号
はじめに
最近のプラモの進出は目ざましく、われわれモデルマニアにとっては嬉しい限りです。
それにひきかえ、数年前あれほど全盛をきわめたソリッドモデルが低調を伝えられ、各地のソリッドクラブの例会はあまりパッとしないのは残念なことです。
先日、ある人に「もう数年したら、木を削っている連中はみんな人間国宝になってしまうでえ-」といわれて、ガックリしました。
いままで、本誌々上でも多くの人たちがそれぞれ作り方を発表された割に、それを見て作ったと思われるソリッドモデルが発表されないのは、どういうわけでしょうか。
いままで書かれた方は、多く各クラブのなかでもN0.1とか名人とかいわれる先生方が多いため、ソリッドはたいへん難しいと思っておられる方が多いのではないでしょうか。
筆者は、ソリッドはそれほど難しいものではないと思っています。要は各人の技術を最大限に発揮したソリッドを作れば良いわけです。
正直なところ、筆者もあまり上手な方ではありません。彩雲会には筆者以上の人が多いのです。しかし、作る意欲は負けないつもりです。諸兄も、もっと気軽な気持で木削りに精を出して下さい。
◎製作に入るまえにもう一言
ソリッドモデルは実機の正確な縮尺模型というわけですが、1/50ではこれにも限度があります。資料のあまりない機体はもちろん、仮に正確な資料があっても、座席内部や脚の細部の表現はちょっと不可能です。
自分なりに妥協点をみつけて、あまり外から見えないカ所や、どう見ても自分の手に負えない所(例えはヘリコブタのロータ取付部)などは、思い切って省略してしまいます。でないと、そのために行きずまって放り出す破目になります。
「いかに実機に忠実に作るか」ではなく、「いかに実機らしくごまかすか」というのが筆者のモットーです。
それでは、F4ファントムⅡを作ってみましょう。
図面と資料
『航空ファン』1964年8月号に、F-4Cの折込み図面が掲載されました。これは空軍型Cモデルの図面ですが、外観は海軍型Bモデルとほぼ同じです(下図参照)。1/50で作るには、図面を約1.3倍に拡大する必要があります。

ただし、どんな図面でも盲信せず、必ず事前に精査してください。
写真は嘘をつきません。写真と図面を必ず照合しましょう。たとえば8月号の図面では、吸気口の前面形状が少し細く描かれているように見えます。初期型はそのような形状のこともありますが、量産型とは異なります。
また、機首側面の小吸気口も図面では少し長く見えますが、実機では前脚柱の少し前あたりまでしかありません。
さらに、F-4Cの図面の多くは胴体下面にスパローを懸架した絵が多く、胴体下面の実際のラインが読み取りづらくなっています。写真を参考に実際のラインを補い、自分の図面に書き加えてください。
図面を自作できるなら理想的ですが、そうでなくても、使用する図面の精度を確認し、必要な修正を加えて実機に近づける作業が大切です。
資料写真はできる限り多く集めてください。『航空ファン』にも数多く掲載されています。私のノートには、以下の号にファントムの写真があると記録されています。
1964年(3月・10月・11月・12月)/1963年(2月・5月・6月・10月・12月)/1962年(4月・5月・7月・8月・9月・11月・12月)
細部工作には、細部が鮮明に写った写真が不可欠です。細部が不明な場合でも、部隊マークやコード類は大いに役立ちます。製作したい部隊のF-4Bを中心に写真を集めてください。
これらに加えて、私は昨年の横田基地・航空デーで撮影した写真も使用しました。今年も航空デーが間もなく開催されますので、横田や厚木に足を運び、F-4Bの細部写真を可能な限り撮影されることをおすすめします。
実機以上に正確な資料はありません。まさに「百聞は一見にしかず」です。ぜひ実際に見てください。
工具
私は家業が指物(家具職人)なので、「工具が多くていいですね」と友人に言われます。
確かに、鉋やノミは多く持っていますが、ソリッドモデル専用といえるような特別な工具はほとんどありません。ナイフ1本でモックアップを見事に仕上げる人もいます。高価なボール盤や木工機械を持っていても、良いモデルができるとは限りません。
ですから、まずは 手持ちの工具を最大限活かす ことが大切です。
私は、モックアップの荒削りには、鉋1丁、ノミ2~3本、鋸1本を使います。パネルラインの筋彫りだけはペンナイフで行います。
よく切れる工具は作業を楽にしますが、研ぎに慣れていない人も多いものです。ソリッドモデルの場合、刃物の切れ味が仕上がりに直接現れるわけではありません。
友人には、10円の彫刻刀を筋彫り専用に買い、切れなくなったら刃だけ捨てて柄はドロップタンク用に使う、という人もいます。F-4Cでも2~3本あれば十分筋彫りできます。
つまり、自分の使いやすい工具を徹底的に使う ことです。ノミや鉋はもちろん、木工やすりやガラス片まで使いようがあります。
また、複雑な脚の製作も、必ずしも半田付けが必要ではありません。ゼロ戦や雷電の脚を接着剤だけで作ってしまう人も知っています。
胴体の製作
組立図をご覧ください。ソリッドモデラーの立場からすると、ファントム II の胴体は特に厄介な部位です。
私は今回が2作目のF-4Bですが、最初の時はホオノキの一木から削り出し、とても苦労しました。そこで今回は三分割構造としました。
中央胴体には 26×43×360 mm のブロック1本、吸気口部分には 15×31×200 mm のブロック2本を用意します。
まず中央胴体の幅を正確に決め、接着面を鉋でぴたりと合うように仕上げて接着します。
図面から側面形を写し取り、まずは側面だけを削ります。ファントムのアレスティングフックは海軍機としてはかなり大型なので、この部位も木で作ります。ワイヤーを引っ掛ける先端部は後でブリキ板から作り、パテで整形しますので、ここでは根元を削り落とさない方が安全です。
後胴は断面形状が複雑なため、三分割を接着してから削ります。この段階では側面以外は削りすぎないことが重要です。
中央胴体の側面形ができたら、吸気口部の取付面をテンプレートから写し取り、そのほかの上面と機首部を削ります。ただし後部と下面は、まだ大まかな角材状のまま残しておきます。
吸気口部は別個に整形し、強力な接着剤でしっかり貼りつけます。完全に固まったら、上から見た平面形を削り出し、断面形に丸みをつけていきます。ファントム独特の“エリアルール形状”を正確に捉えてください。
主翼の差し込み溝は、できれば接着前に作っておきます。吸気口周りは形状が複雑ですので、図面と写真をよく比較しながら正確に整形します。
私は写真と断面スケッチを参考に削りましたが、初心者の方や不安な方は、各ステーションごとの型紙(ゲージ)を作って使うとよいでしょう。
胴体下面のミサイルパイロン部は写真でも形状が読み取りづらいところですが、主脚庫より後方はかなり角張ったラインです。ここは念入りに観察してください。
作業の要点は、常に図面と写真を併用し、工具を最大限に生かすこと に尽きます。
私は側面形をやや大きめに残し、粗い紙ヤスリ(#50前後)で図面に合わせて削り込み、その後細かい紙ヤスリで仕上げます。
主翼の製作
主翼には幅広の良材が必要です。木目がまっすぐでやや青みがかったホオノキ材があれば最適です。テンプレートから外形を写し取り、2~3 mmほど大きめに粗挽きします。
同時に、翼根部の差し込みタブも作ります。木目はできれば後縁(トレール)に沿わせると、後で筋彫りが楽になります。前縁側の木目も意識しておいてください。塗装すると木目は見えませんので、今のうちに頭に入れておくことが大切です。
厚みをだいたい整えたら、断面形を図面で確認しながら削ります。ただし図面の翼型は過信せず、翼根の“ふくらみ”や前縁の鋭さは、必ず写真を見て判断してください。
ジェット機の翼は対称型に近いものが多く、機種によってはドッグトゥース(前縁の“欠き”)もあります。必ず写真と照合して整形してください。
ソリッドモデルを“きれいに見せる”最大のコツは、後縁をできる限り薄く仕上げること です。電灯にかざしてわずかに透ける程度が理想です。ここが厚ぼったいと、どれだけ全体が良くてもジェットらしさが失われてしまいます。
私は主に鉋で削ります。鉋を逆さにして万力に固定し、翼材を手で持って“鰹節を削る”ように削ります。形が整ったら、二つ折りにした紙ヤスリを机に置き、その上で翼をこすって仕上げます。
極薄の後縁は傷つきやすいので、取付位置の調整を済ませてから、最後に仕上げ削りを行うのが安全です。
目次
* F-4B インデックス * 1965年5月号 * 1965年6月号 * 1965年7月号 * ギャラリー


