ユーザ用ツール

サイト用ツール


ja:authors:omachi-masami:a6m_zero:1956-04

文書の過去の版を表示しています。



先月より引続いて解説しましょう。

プロペラの工作

プロペラの工作ですが、適当なブリキ板を少量用意いたします。
次に、写真などより「零戦」のプロペラの形状を良く見て、ブリキ板の上に書きますが、大体プロペラなどはピッチをつけてあるものですから、図面に書かれてるものをそのまま切抜いてピッチを与えますと前から見た場合ほっそりとしたものになりますから、幾分横の巾を加えて一枚切抜いてください。
 そのプロペラをねじってピッチを与え、写真などと比較し、似てればそれを形にして3枚切り抜いてください。

 スピンナ一に差込部分は3mm位い図のごとく先を長く切り、ブリキ鋏にて少さな切込をつけます。この切込でスピンナーより抜けるのを防ぎます。  次にスピンナ一に皺の差込む位置を印し、先の鋭いナイフで角度に留意しながら穴をあけ、そこにヤットコかペンチで先が折れ曲らぬよう正注意しながら差込みます。これで一応回転させ、調子を見てブレを修正します。  以上が終りましたら、いよいよピッチを与えますが、このプロペラの長所はこの点にありますが、写真を充分参考にしながらお気に召すよう美しいピッチを与えてください。  竹や木製の超の場合は、削り過たりピッチが不揃になったり、双発、四発機となりますと、考えるだけでうんざりしますが、気に入る迄やり直しが出来ますから重宝です。  次にこの翅に厚味を与えるため、ラッカーパテーを指先で塗付致します。翅の付根は部厚くなりますから、薄く何回にも分けて塗り、2日位い放置乾燥させます。  乾きましたら、サンドペーパーでパテの荒落しをして、水ペーパー(280番)で仕上整形を行います。この場合も付根の形状や先端の厚味を充分注意されますように、兎に角、最も目に付く個所ですから、美しく仕上てください。  以上で全体にラッカー・サフェサーを2~3回塗り水ペーパーをかけ、色を塗って仕上りです。今迄に2・30機のプロペラ機を作りましたが、皆このパテを使用したプロペラを用いましたが、ブリキとパテと分離した事故は全然ありませんから、ご安心ください。ただしパテで整形・後ピッチを変更などしては駄目です。

エンジン部の工作

この零戦は製作上の都合から胴体とエソジン部と切断しましたが、この項に於ては、エンジン部の仕上げを解説します。

 先ず(第2図)の㋑に示したごとく、エンジン部と空気吸入口部の境の板を紙で接着し、機銃ロをキリを利用してあけます。  それと同時にカウルフラップを接着しますので、約1mmの深さにフラップ部を彫ります。以上の下準備が出来ましたら、ラッカーサフェサーを4、5回(後に詳細に塗装法を述べますから参照の上)塗り、着色を行い、㋺の工作を行います。  ㋩に示しましたのは排気管及びカルフラップの装置法ですが、図面より正確に排気管位置を決定し、適当な太さの針金か銅線を曲げ、キリで先に穴をあけて差込ます。(参照)  この場合パイプ類(ニューム管など)でやれば穴があり、実感も加わるのですが、カギ形に曲げる場合その部分がつぶれますので、私の場合は銅線を使用しました。  排気管の先端はヤスリで充分長さを揃えてください。  次に黒に塗った紙(表面の滑かな真空管の箱かピースの空箱など)をカウルフラップ巾に細長く切り剃刀で排気管の喰込む部分を切り取り、(充分資料を参照の上で)それが終りましたら、一枚宛に切り離し接着剤を少量塗付し、ピソセットでていねい、又慎重に、接着いたします。  接着の折は、ある程度カウルフラップを開いた処として、角度を持たせて接着した方が面白いのではないでしょうか、又大事な点として接着し場合、この部分に限らず接着剤を多量に付け過ぎて、ハミ出してはラッカーが溶けたりして、非常に見苦しくなりますから注意が必要です。  以上の作業と平行に、やはりブリキ板を使用して、エンジンの製作を行いますが、図をご覧になれば判ると思いますが、㊁のごく、星型に切きり抜いたものに針金を巻き付け、㋩に接着剤で取付けます。  シリンダーとして巻付ける針金にラジオ屋にあるメッキした配線用のメッキ線が、やわらかくて太さも適当です。  簡単なエンジンですが、スピンナーが大きいので、内部は見えず、この程度の工作で充分だと思います。  以上で、エンジン部は工事終了です。機体と離して工作しましたので工作容易だった事と思います。  このエソジンは機体が完全に仕上った後、接著します。

機体の工作

次に機体側の作業に進みます。前月に扱った作業に加えて、まず主翼下面の主脚収納部と、尾輪収納部をくり抜きます。
作業方法としては、6 mm、すなわち二分程度のノミを使うと、早くきれいに仕上がります。深さは2〜3 mmほどでよいでしょう。内部を黒く塗ると、奥行きがあるように見えます。
また、図面に従って着艦フックの溝を開け、操縦席前方、つまりエンジンと胴体の境目にある7.7 mm機銃口も開けておきます。これらの作業は、塗装前に済ませておきます。

塗装

いよいよ、多くの人が苦手に感じる塗装に入ります。しかし、順序を間違えなければ、初めての人でも心配はいりません。ここでは、読者の多くがスプレーガンを持っていないことを前提に、刷毛塗りによる方法を説明します。エンジンユニットも同じ方法で塗装します。

全体の手順は次の通りです。ここでは、AからGまでの工程として整理します。

  • (A)下塗り・サーフェーサー — 3〜5回、320番程度で水研ぎ
  • (B)色塗り — 3〜4回、途中で水研ぎ
  • (C)パネルラインの彫り込みと溝の色入れ
  • (D)仕上げの色塗り — 薄めの塗料で仕上げ塗り
  • (E)外板継ぎ目の表現とリベット打ち
  • (F)コンパウンド磨き
  • (G)ユニポリッシュによる仕上げ

順に説明します。

(A)サーフェーサー。特別な材料は必要ありません。ラッカーサーフェーサーで十分です。木地止めにクリアラッカーを使う人もいますが、サーフェーサーの方が研ぎやすく、木の細かな目も埋めてくれるため、はるかに扱いやすいと思います。毛が抜けない良い刷毛を使って塗ります。
三回ほど塗ったら十分に乾かし、水を少し付けながら280番から320番程度の耐水ペーパーで全体を水研ぎし、なめらかな面を作ります。さらに二、三回サーフェーサーを塗り、乾燥後にもう一度水研ぎします。
サーフェーサーは薄く塗るものですが、研がずに重ねるだけでは、三回から五回で1 mm近い厚みになることもあります。特に水平尾翼のような薄い部分では、厚ぼったくならないよう、よく研いで縮尺感を保つことが大切です。

(B)色塗り。零戦の標準的な塗装として、上面を暗緑色、下面を青灰色に塗ります。私はエンジンユニット全体を黒く塗りました。
暗緑色は市販のラッカーをそのまま使っても大きな問題はありません。青灰色は、白にごく少量の黒を混ぜて明るい灰色を作り、そこに少し青を加えて調色します。
塗装は、晴れた日を選びます。見えにくい部分に千枚通しなどを差し込んで仮の持ち手とし、まず下面に二、三回塗ります。次に上面の暗緑色を二、三回塗り、全体の濃さをそろえます。多少の刷毛むらは気にしすぎなくてよいでしょう。やや濃いめのラッカーを使い、十分に塗り込むことが大切です。

(C)パネルラインの彫り込み。ここでは、主要な塗装を終えた後にパネルラインを彫ります。木地の段階で先に彫る人も多いのですが、サーフェーサーや色塗りを何度も重ねるうちに細い線は埋まってしまい、結局もう一度彫り直すことになります。その際、仕上がった面を傷めることもあります。
この段階で彫れば、後は薄い仕上げ塗りが残るだけなので、線が埋まりにくくなります。
よく切れる切り出し小刀や工作用ナイフを使い、刃先をよく研いでおきます。まず下面から始めるとよいでしょう。マーキングと同じく、失敗が目立ちにくいところで練習するためです。図面を見ながら、フラップや補助翼などの位置を測り、線の幅と深さがそろうように彫ります。木目に刃を取られることがあるため、本当に鋭い刃を使うことが重要です。
彫り終えたら、細筆で溝の中に軽く色を入れておきます。後から薄く仕上げ塗りをしても、溝の中の木地の色が完全には隠れないことがあるためです。

(D)仕上げの色塗り。二色塗装の場合は、必ず明るい色から塗ります。前に作った色をシンナーでおよそ1対2程度に薄め、まず下面に二、三回、薄く塗ります。この時、表面に凹凸が残っていないかを確認し、必要なら水研ぎしておきます。上面も同じように仕上げます。前縁に沿ってマスキングテープを貼ると、塗料が流れるのを防ぎ、境目も整えやすくなります。
天気のよい日であれば、数時間で乾きます。その後、文字や標識を入れることができます。ただしその前に、以前のコルセア製作の時と同じように、外板継ぎ目の表現とリベットを加えて、実感を高めます。手間はかかりますが、効果のある作業です。

(E)外板継ぎ目の表現とリベット打ち。先端の丸い、よく研いだ千枚通しを用意します。仕上げ塗りをしてから約20分ほど経ち、指紋が付かない程度に乾いた段階で、資料や 図3 を見ながら、ナイフの先で軽く外板継ぎ目の筋を入れます。完全に乾いてからでは、光の加減で線が見えにくくなります。
胴体には、必要に応じてテープを巻いてガイドにします。これはカウリングにも有効です。次に、千枚通しでリベットを打ちます。間隔はおよそ1 mm程度を目安にし、翼根付近や通常の外板部など、実機に応じて間隔や大きさを少し変えます。根気よく、そろえて打つことが大切です。

(F)コンパウンド磨き。塗料店などで売られているラビングコンパウンドを使います。量は少しで足りますので、仲間で分けて使ってもよいでしょう。布に少量を付け、軽く磨きます。注意しなければならないのは、コンパウンドには研磨剤が入っていることです。磨きすぎると色が落ち、下のサーフェーサーが出てしまい、せっかくの作業が台無しになります。初心者は、まず指先にほんの少し付ける程度から始め、軽く拭き、最後にきれいな布で仕上げるのが安全です。
私がコンパウンドを使う主な目的は、刷毛目を目立たなくすることです。条件がよければ、刷毛塗りのラッカーでも十分に光沢が出ますが、コンパウンドと次の仕上げを行うことで、落ち着いた深みのあるつやが得られます。また、パネルラインやリベットに入ったコンパウンドが、わずかにそれらを強調する効果もあります。

(G)ユニポリッシュによる仕上げ。ユニコン系の仕上げ用ポリッシュを用います。これは薄い膜を作るため、国籍標識や機体番号などは先に入れておきます。
日の丸は、烏口を使って円を描きます。まず白縁を描き、その内側を3〜4 mmほど塗りつぶして乾かします。その後、赤い円を同じように描いて塗ります。大切なのは塗料の濃さです。濃すぎると流れず、薄すぎるとにじみます。紙の上で練習して、ちょうどよい流れ具合をつかんでから行います。
写真では細かな注意書き類が見えないものも多いですが、垂直尾翼の番号は入れておくべきでしょう。紙絆創膏などをガイドにし、その範囲内に文字を入れます。

最後に、とてもやわらかく、ビロードのような布でユニコンを使って磨き上げます。

私が初めてコンパウンドとユニポリッシュを使ったのは、恩地会の高崎氏と中村氏という先輩方から教えていただいたときでした。その仕上がりは、ほとんど刷毛目のない、スプレー仕上げに匹敵するもので、たいへんうれしかったことを覚えています。

座席の製作

操縦席の座席は、自分の技量に合わせて作ればよいでしょう。零戦の操縦席は比較的余裕があるため、細部工作も可能です。実機の座席はジュラルミンの地肌なので、紙や木で作るよりもブリキ板で形を作る方が容易です。塗装せず、そのまま床板に接着します。
背当ての防弾板を取り付け、図4 のように針金で作ったループアンテナを差し込み、キャノピーを接着します。キャノピーをビニールで成形した場合は、ビニール用接着剤を使い、乾くまでマスキングテープで押さえておきます。アンテナ支柱もブリキ板で作ることができます。
先に排気口を切り開いておきましたが、内部構造らしく見せるため、三角形に切った小さなブリキ片をペンチで差し込み、塗装しておくと、内部が空洞であるような印象を与えることができます。



脚の取り付け

最終組み立てでは、まず別に作っておいたエンジン部を胴体に接着します。次に、機体側からエンジンユニットへつながるオイルクーラーを取り付けます。これは青灰色に塗ります。図6 を参照してください。
厚い翼であれば、脚柱を差し込む穴を作れる場合もあります。しかし、最近のジェット機などでは主翼が非常に薄く、十分な差し込み深さを取れないことがあります。次の固定方法は、薄い翼にも使えます。脚を取り付ける位置に、昆虫針を二本、ペンチで1 cm以上主翼に打ち込み、その針に脚柱をはんだ付けします。私の試験では、約10 cmの高さから落としても耐えました。
尾輪も同じように取り付けます。機銃の銃身とピトー管も取り付けます。1/30程度の大きな縮尺では、アンテナ線を張るとさらに実感が増します。垂直尾翼の上に小さなブリキ片を埋め込み、そこからアンテナ支柱まで細い銅線を張るとよいでしょう。

落下タンクを取り付ければ、模型は完成です。ラムネで乾杯しましょう。1)

ソリッドモデルは、作業の順序さえ分かれば、誰でも完成させることができます。この記事が皆さんの模型完成の助けになれば、ぜひ写真と製作報告をお送りください。楽しみにしています。質問も歓迎します。この誌面でお答えします。


1)
「ラムネ」は昔ながらの日本の炭酸飲料です。ここでは、完成を祝う親しみのある時代感のある表現として用いられています。
ja/authors/omachi-masami/a6m_zero/1956-04.1779693693.txt.gz · 最終更新: by admin